2.1 令和3年度学期開始にあたり 会長挨拶

放送大学はセーフティーネット

藤 本 芙 佐 子

一年間、大学で授業を受けずに「この3月に卒業した」こんな報道を目にしました。“広い大学で、楽しみをいっぱい受け取り、学びは大いに頑張り、生涯の友人をつくる筈であった”と思いながら過ごし卒業していったと思われます。私たちが学ぶ放送大学は通信制なので、この大学卒業生のような寂しい気分にはならないでしょう。

放送大学は、社会で就業中の人や高齢の人々も学んでおり、年齢に関係なく学べる生涯学習の中核的高等教育機関です。1983年に国が所管する通信制大学として発足し、文科省ビルに「放送大学」の大横断幕が張られていたことを思い出します。家庭事情、特に現在はコロナの大禍の為、大学卒業資格を得る等のための、“セーフティーネット”役を果たしています。

今、放送大学在学生の4割は大卒・大学院修了生です。大学院へ進みたい人は、現役社会人、それも高レベルな研究を希望する人が占めています。自分の進路の課題を追いかけ、研究し小さくても結論を導き、結果を職場や社会で活かすように進んでいきます。ハイレベルな内容でこれぞ大学の学びだと確信しています。

昨今から「教育はオンラインで」と大いに喧伝していますが、放送大学では、2015年から実施し、その後も科目は増え続けています。私自身、同窓会員兼学生でオンライン授業を好み、放送授業も主にインターネット配信で学んでいます。追いかけていくのがやっとですが、頑張ろうと自分自身に勇気を持たせています。

放送大学の“セーフティーネット”は、日本中に張り巡らされており、その恩恵は計り知れず大きなものになると確信しています。

(2021/3/30 朝日新聞 「放送大学はセーフネット」の文章掲載あり)